秘する蜜

「一般漫画でも人気の作家」が成年向けに全力投球してきました
コミックゼノンで『フィルター越しのカノジョ』を連載中、LINEマンガで『恋はくせもの』が人気を集めた大箕すず先生——そんな一般漫画でも確かな地位を持つ作家が、2022年にGOTコミックスから成年向け単行本として届けてくれたのが『秘する蜜』です。全200ページ、1,210円という手に取りやすいボリューム感も嬉しいところです。
「秘する」という言葉に込められた空気感
タイトルの「秘する蜜」、この言葉のチョイスがすでに大箕先生らしさを感じさせます。声高に主張するのではなく、どこかひっそりと甘く、でも確かに蜜が滲んでいる——そういう「隠れた欲望」の描写が得意な作家さんだと、先生のこれまでの作品からも伝わってきます。
COMIC E×Eでの掲載作では「家に居座る生意気なムスメにお仕置き……のつもりが淫らな雰囲気に抗えず」という展開が描かれており、「お仕置きのつもりが雰囲気に流されていく」というシチュエーションの、あの「分かってはいるけど止まれない」感覚を繊細に表現するのが上手い先生です。
一般漫画で磨かれた「感情の解像度」が違う
大箕すず先生が一般漫画と成年向けの両方を手がけていることは、この作品の質感に確かに反映されています。一般漫画で「恋愛の空気感」「キャラクターの感情の機微」を描き続けてきた先生だからこそ、エロシーンに至るまでの「なぜこのふたりがこうなってしまうのか」という積み上げが丁寧で、納得感が生まれやすい構造になっています。
「好きだから触れたい」のか「触れてしまったから好きになる」のか——そのどちらともいえない曖昧な感情の描き方が、大箕先生の作品には共通して流れています。エロと感情が分離しないこの読み口は、成年向け漫画の中でも独特の居心地の良さがあります。
「秘する」派の方に、ぜひ手に取ってほしい
コミックゼノン系列でロマンティックな恋愛漫画を描く一方で、GOTコミックスでは「秘する蜜」を届け、さらにCOMIC E×Eでの掲載もこなす大箕すず先生。成年向けの文脈では代表作として真っ先に名前が挙がるこの一冊は、先生のファンはもちろん、「感情の積み上げがちゃんとある成年向け漫画を読みたい」という方にも自信を持ってすすめられます。各電子書籍ストアでも配信されていますので、ぜひじっくり味わってみてください。