ネトラレ片思い

成年コミック

「好きな人が、他の人とやってるのを見ていた」

タイトルの「ネトラレ片思い」——ネトラレと片思いという、普通なら相容れない二つの言葉が並んでいる。この組み合わせだけで、何かただごとではない感情のもつれが待っていると分かります。「フェチズムの皇帝」の異名を持つ蛹虎次郎先生の渾身作は、2017年4月にコアマガジンのメガストアコミックスから発売されました。「鼻の穴からお尻の穴まで大乱行ザーメン祭り!」というキャッチコピーからも分かる通り、全力で振り切った蛹虎次郎ワールドが全開の一冊です。

「エレクトえれくと」——ミスコンという戦場、ルールがおかしい

全3話+ENDというボリュームで描かれる「エレクトえれくと」は、「学園の覇権と人権を勝ち取るにはミスコンでNo.1になるしかない」という歪んだ世界の論理から始まります。候補の女子2名が男たちの票を集めるためにその身を使って競い合うという設定のぶっ飛び方が、まず普通じゃない。でもその「ありえない設定」をまじめに、かつ全力でエロく描ききってしまうのが蛹虎次郎先生の凄みです。

競い合うふたりのキャラクターの個性の描き分けも丁寧で、単なる乱行描写に終わらないキャラクターの感情の機微がちゃんと存在しているのが読み応えのある理由です。

「好きだからバイバイ」——これが一番、心に刺さります

表題作的な位置づけとなるのがこの作品です。憧れの早乙女先輩から相談を持ちかけられてドキドキしていた浅居くん。でもその内容が「彼氏に自分たちの仲を疑われているから、彼とセックスしているところを見ていてほしい」というもの——この展開、どれだけの人がノーガードでやられたか。

好きな人が他の男と絡み合うのを至近距離で見ていることしかできない浅居くんの表情の描き方が、エロシーン以上に濃密です。タイトルの「好きだからバイバイ」の意味が読み終わった後にじんわりと効いてきて、これが「ネトラレ片思い」というタイトルに最もリンクする作品であることが腑に落ちます。

「fake」と「母である前に」、読後感が全部違う

「fake」は、真剣なふりをして本性を隠しているキャラクターの「本音と建前」が崩れていく様子を描いた一作。「母である前に」は人妻ものでありながら、タイトルが示す通り「母」という役割と「女」としての欲求の間で揺れる心理描写が読みごたえ十分です。

収録作品4本それぞれがまったく異なるシチュエーションでありながら、どれも「見てはいけないものを見てしまう」「隠していた本性が暴かれる」という共通の快感が根底に流れています。蛹虎次郎先生の「フェチズムの皇帝」という呼び名は、こういう一本筋の通ったこだわりからきているんだと感じます。

「渾身作」という言葉が嘘じゃない

コアマガジンのメガストアコミックスから発売中の本作、各電子書籍ストアでも配信されています。蛹虎次郎先生の作品をまだ読んだことがない方には、この一冊がその世界観の入口として最高の選択肢です。エロと感情が分離しない、「見ていてつらいのになぜか止まれない」あの感覚——ぜひ体験してみてください。