沼る女

成年コミック

「軽くヤるだけのつもり」が、こんなに狂わせてくるとは

ナンパ男が都合のいい女を見つけたはずが、いつの間にか溺れていた——そんな「沼った側」の感覚を描いたのが、亜美寿真(つぐみすずま)先生の最新単行本『沼る女』です。COMIC快楽天を主戦場に活躍する「ナマ感覚派」の呼び名にふさわしい、リアルな男女の空気感が全9作品に詰まった一冊です。

ゆまという女、なぜこんなに抜け出せないのか

表題作「沼る女」の主人公・コウは、即ヤれそうな女を物色しながら夜の街をぶらつくナンパ男です。警戒心なし、男運なし、でも顔もカラダも最高の天沼ゆまを見つけ、狙い通りに即ハメ成功——そこまでは計算通りでした。

でも「面倒くさくなるまでは付き合ってあげるか」という軽い気持ちで交際を申し込んだコウが、気づいたら思うようにいかないゆまにじわじわとのめり込んでいく。このプロセスの描き方が絶妙で、「なぜこんな女にハマってしまうのか」という感覚をコウと一緒に体験させられます。おっぱいが大きくて色々ユルくて——という設定だけで終わらない、ゆまというキャラクターの「つかみどころのなさ」が読者も一緒に沼らせてきます。

9作品、全部シチュエーションが違うのにぜんぶリアル

収録作品のバラエティが本当に豊かです。浮気を疑う嫉妬深い彼氏に体で証明する「タメシコウドウ」、2年半付き合った彼氏と別れる日にカラダが求めてしまう「別つ時」、断れない女配信者と流れでズッポリの「ゆめめちゃんねるオフライン」、既婚者と知らずに口説いてくる年下男子に隙を見せてしまう「ズルくてごめんね」、あざと可愛い女マネージャーに気になってしょうがない「種村くるみは今日も可愛い」——どれも「こういう状況、ありそう」と感じさせるリアルな温度感があります。

ギャルのパンツを守ろうとするうちに距離が縮まる「ギャルと友達になった」、従兄に振り向いてほしくて体を差し出す「カノジョになってあげよっか?」、そして結婚式の夜に新郎に先に寝られてしまった新婦の「新婚初夜」と続く9作、どれひとつとして「テンプレ」感がないのが亜美寿真先生の真骨頂です。

「ナマ感覚派」って、読んでみると分かります

亜美寿真先生の絵柄は、「ナマ感覚派」という言葉がぴったりくる独特のリアリティがあります。キャラクターたちが「漫画の記号」ではなく、実際にどこかにいそうな人間として描かれていて、その分エロシーンの熱量が違います。表情の描き方が特に豊かで、快感・戸惑い・感情のもつれが混ざり合った顔が毎作品ちゃんと違う。「この人は一体何を考えているんだろう」と思わせるキャラクターの奥行きが、読後もじんわり残ります。

「背徳カンケイから青春タイケンまで」、この振れ幅が最高です

ワニマガジン社のWANIMAGAZINE COMICS SPECIALから発売中の本作、既婚者の背徳から若い青春の一歩まで、感情の振れ幅が広いのにどの作品も同じ「ナマ感覚」で貫かれています。亜美寿真先生をまだ知らない方にも、ファンの方にも自信を持ってすすめられる一冊ですよ。