裏本 上

同人7年分の本気が、1冊に詰まっていました
「稀代のヒットメーカー・裏筋侍」——そんなキャッチコピーが帯に躍る、待望の商業デビュー単行本が『裏本 上』です。2018年から同人活動を続けてきた裏筋侍先生が、まさかの商業単行本化を果たした一冊。先生ご自身も「まさかこういった形でお届けできる日がくるとは思っていなかった」と語るほどの節目の作品です。2025年3月28日に上下巻同時発売され、コアマガジンのメガストアコミックスから166ページで登場しました。
「フラチ」、10万DLの理由がわかる
上巻のメイン収録作品は、同人時代に10万ダウンロードを記録したメガヒット作「フラチ」と、描き下ろし20ページ追加の「浮気と本気」の2本立てです。
「フラチ」は、向かいのビルで毎晩のようにオナニーをする女性を双眼鏡で覗き見るという、かなり際どいシチュエーションから始まります。ところがこの女性、「視線、気づいてたんですよ」と笑顔で言い放ってくるんです。覗く側と覗かれる側の関係が一瞬でひっくり返るこの冒頭、心拍数が上がりますよ。近所に住むふたりが偶然出会い、そこから転がっていく展開のスピード感がたまらない。10万DLというのも、読んでみると全然大げさじゃないと思えます。
「浮気と本気」の後味、これが絶妙
もう一本の「浮気と本気」は、付き合って2ヶ月で彼女に浮気された笹原と、実はその浮気相手が自分の彼氏だったと気づいた同期・美佳が、やけ酒の流れでなし崩しになっていくお話です。「浮気された者同士」という奇妙な連帯感の中から生まれる色っぽさと、「これって浮気なのか本気なのか」という割り切れなさが絶妙に同居していて、読後にじわじわ効いてきます。
エロシーンに突入するまでの心理描写の丁寧さが光っていて、「なぜこのふたりが体を重ねてしまうのか」という納得感をちゃんと積み上げてから本番に入ってくる構成が好印象です。
繊細なのに、ちゃんと肉感がある
裏筋侍先生の絵の最大の特徴は、繊細なタッチとリアルな肉感の共存です。線はきめ細やかで品があるのに、体の柔らかさや重さはしっかり伝わってくる。表情の描き方も豊かで、快感・羞恥・戸惑いが一枚の顔に重なって表現されているシーンが多く、キャラクターへの感情移入を自然に引き出してくれます。「ヒロインが綺麗」という声が多いのも納得で、色っぽさと可愛らしさのバランス感覚が抜群です。
上下巻、セットで読むのがオススメです
2025年3月28日に上下同時発売という構成で、上巻と下巻で収録作品の毛色が少し異なります。上巻が「エロ×人間関係のリアルさ」を押し出しているとすれば、下巻では裏筋侍先生が初めて挑戦したという連作形式の実験的な作品も収録されています。コアマガジンの書店・電子書籍両方で入手可能ですので、気になった方はぜひ上下セットでチェックしてみてください。同人7年分の熱量が詰まった、裏筋侍ワールドへの最高の入口ですよ。