奉仕委員のおしごと

成年コミック

233ページ全部、密度が同じってどういうこと

成人向け漫画の短編集を読んでいると、正直「当たり外れ」があるじゃないですか。最初の数話は面白いけど後半失速する、あるいは表題作だけ気合いが入っていて他は微妙……そういう経験、あると思います。でも胃之上奇嘉郎先生の『奉仕委員のおしごと』は、そういうガッカリが一切ありません。最初から最後まで、ずっと同じ熱量で殴り続けてくる1冊です。

「おしごとシリーズ」がなぜかやめられない

メインとなる「おしごとシリーズ」は、女生徒たちが奉仕活動に励む連作です。設定だけ聞くとよくあるシチュエーションに聞こえますが、読み始めると止まらなくなります。その理由は、キャラクターひとりひとりの体型や表情の描き分けが恐ろしく丁寧だから。同じ「奉仕委員」というくくりの中でも、ちゃんと全員が違う顔・違う体・違う反応をしているんです。「このコのこういうところが好きだな」という感情移入が自然に生まれてくる構造になっています。

「せんせいわかりません!」の完成度がズルい

もう一本の柱となる「せんせいわかりません!」は、優等生がお仕置きされてだんだんおバカになっていくお話です。「真面目な優等生が崩れていく」という展開、分かってはいるんですけど毎回やられてしまいます。崩れ始めるギリギリのところの描写が特に精巧で、「まだ理性がある」状態と「もう抗えない」状態の境界線をここまで丁寧に描ける作家さんはなかなかいないなと感じます。

「絵が上手すぎる」以上の言葉が見つからない

胃之上先生の画力については、もう語り尽くされている感がありますが、改めて言わずにはいられないです。線の密度、影の使い方、肉体の立体感——これだけの要素が全ページに均一に存在しているのが本当におかしい。エロ漫画の文脈を超えて「漫画の教科書」として成立してしまうレベルです。「とにかく絵が上手すぎてすごい、やばい」という声が多いのも、大げさでもなんでもなく純粋な事実です。

「ぷらす」版という選択肢もあります

2014年発売の初版に加え、2024年7月にはB5判・370ページという大ボリュームの「奉仕委員のおしごと・ぷらす」が発売されています。初版の収録作品に新作が追加された豪華版で、価格は3,000円(税別)。「それだけのために買う価値がある」という声もあるほど、追加コンテンツの充実度も本物です。

胃之上奇嘉郎先生の世界に入るなら今がチャンス

12年分のエネルギーが詰まった初版、そしてそれをさらに進化させた「ぷらす」版。どちらから入っても、胃之上先生の世界観の濃さに驚かされるはずです。読む前と読んだ後で「奉仕委員」という言葉の重みが変わる、そんな一冊ですよ。