シスターブリーダー

「姉妹」という設定が、こんなに奥深くなるとは
タイトルだけ見ると「よくある近親系の短編集かな」と思うかもしれません。でも、この作品はそんな一言では片付けられない、じんわりと効いてくる構成になっています。武田弘光先生の単行本第2弾となる『シスターブリーダー』、名前の意味が読み終わった後にじわじわと腑に落ちてくるんですよね。
表題作、「ただの背徳モノ」じゃなかった
メインとなる表題作「シスターブリーダー」、最初は近親相姦テイストの作品かと思って読み始めるんですが、その実態は姉妹を丁寧に"開発"していく調教ストーリーでした。見事に期待を裏切られる、良い意味で。
特筆したいのが、キャラクターの描き分けの細かさです。姉と妹でちゃんと描写に差をつけているあたり、武田先生の几帳面さというか、作品への誠実さが伝わってきます。「ここまで気を配るか」という細部へのこだわりが、読んでいると随所に感じられます。
収録作すべてが"相思相愛"という安心感
この短編集全体を通じて共通しているのが、登場キャラクターたちが全員どこか相思相愛であるという点です。一方的な関係や後味の悪い展開がなく、読後感がとにかく爽やかなんです。
また、各作品の構成が秀逸で、一線を越えるまでの"焦らし"にしっかりと時間とページ数をかけています。そのおかげで本番に入ったときの盛り上がりがちゃんと積み上がっていて、テンポ任せに流れない丁寧さがあります。童貞×処女の初えっちを描いた読切も収録されており、バリエーションの幅もしっかりあります。
武田弘光先生の画力、改めてすごい
武田弘光先生といえば、一般向け漫画『マケン姫っ!』の作者としても知られる実力派です。成人向け・一般向けどちらでも活躍できる画力の高さは折り紙付きで、ヒロインたちの表情や姿態の魅力的な描き方は他の作家と一線を画しています。
エロシーンの密度も高いのですが、それ以上にキャラクターが「生きている」感じがするんですよね。顔の表情だけで感情が伝わってくるような、そんな画力があります。巻末には書き下ろしで表題作のその後も収録されており、最後まで読んで「買って良かった」と思える1冊になっています。
こんな人にオススメです
後味の良い相思相愛系が好きな方、じっくり焦らして盛り上げていく展開が好きな方にとって、この作品はかなりツボにはまるはずです。ワニマガジン社から2016年5月に発売されており、全222ページのボリュームも満足感十分。武田弘光ワールドにまだ触れたことがない方にとっても、入門作として十分すぎるクオリティですよ。